「耐震診断=自己責任の象徴?~“壊れる家”と“壊れた社会”の不都合な真実~」

  1. はじめに:その「耐震診断」、本当に“安全確認”ですか?

さて皆さん、日本に住んでいる以上、地震は避けて通れません。阪神淡路、新潟中越、東日本、熊本、能登――もう「平成の教訓」とか「令和の悲劇」とか言い出したらキリがないほど、私たちは繰り返し地面の揺れに泣かされています。
そんな中、定番ワードとして市民権を得たのが「耐震診断」。これ、すごく良い言葉ですよね。「うちは大丈夫かしら」と思った時、なんだか“無料診断”とセットで広告が出てきて、「とりあえず見てもらおうか」となる。

でもちょっと待ってください。そもそも、なぜ私たちは「診断」してもらわなきゃいけないのでしょうか? そしてその結果を聞いても、国も自治体も何もしてくれない。「あとはあなたの判断で」――これ、よく考えると、耐震診断って「自己責任」の象徴じゃないですか?

  1. 耐震基準=信頼の裏切り?40年遅れの日本住宅事情

日本は「地震大国」なんて胸を張って(?)言いますが、建物の基準はいつも「後追い」です。
たとえば1981年に新耐震基準が制定され、さらに2000年に細かい改正が入りました。が、その間に建った家はどうなるか?答えは簡単。
「古い基準で作られている」
これ、国がちゃんと規制してくれてるはず、と思いたいんですが、意外と「自己申告制」な部分が多いんです。

耐震基準に適合してない家が地震で倒壊しても、誰も「国が悪い!」とは言わず、「いや~古い家だからね、仕方ないね」で終わってしまう。
つまり――私たちは「法律がある=守られている」と思い込むけど、実態は「守られない自己責任社会」なのです。

  1. 耐震診断の“診断”だけで満足してませんか?

面白いデータがあります。国土交通省の発表(令和5年)によると、耐震診断を受けた建物のうち、実際に耐震改修まで行ったのは全体のわずか27%程度。
「うちは診断したから大丈夫!」と満足してる方、残念ですが“診断”は“治療”ではありません。病院で「ガンですね」と言われて「診断受けたし帰ろう」と言う人はいませんよね。でも住宅だとそれが普通に起きている。

これはもう、「自己責任社会」の極み。国は「診断を受けましょう」と言うけど、その先の「どう改修するか」までは完全放置。つまり、「言うだけは言ったから、あとは自分で何とかしてね」というアリバイ作りなんです。

  1. “診断”商法と住宅リフォーム業界のリアル

さて、リフォーム業界から見ると、耐震診断は「営業トークの宝庫」です。無料診断はエントリーポイント。 ただ問題なのは、この「無料診断」をうまく活用できていない業者も多いこと。 「診断してあげますよ」と言いながら、その後に続くのは「保険の勧誘みたいな営業トーク」

お客様からしたら「無料で見てもらったけど結局お金がかかる話でしょ?」と信頼が一気にダウンします。これが「無料診断」の罠。
しかも「耐震診断士」の資格を持っていれば、どこか神聖視されがち。でも実際の中身は玉石混交。現場経験がない机上だけの診断なんて、ほぼ無意味です。
本当のプロは、現場のクセを知り、材料の経年劣化を読み取り、なおかつ「お金のかけ方」を提案できる人。診断して終わりではなく、「どうリスクを最小化するか」まで設計するのが本来の仕事です。

  1. なぜ「公助」は当てにできないのか?

2024年の能登半島地震で痛感したこと。それは、「国も自治体も災害時にはすぐに駆けつけてはくれない」という現実です。
耐震改修が進まない一因に、「助成金」があります。確かに一部自治体では助成金がありますが、額が少額&手続きが複雑。
しかも「まずは自費でやって、後から助成」スタイルなので、手元資金がなければ最初から選択肢がない。

さらに言えば、助成の対象になるのは「旧耐震基準の建物」限定が多く、「微妙に対象外」の家も多い。つまり、「助ける」と見せかけて線引きしている。
国は「命を守るため」と旗を振りますが、最終的には「自分の家は自分で守れ」がデフォルト。これ、本当に“国が守っている”社会なんでしょうか?

  1. 猿でもわかる“自己責任社会”の仕組み

ここまで読むと「なんだか難しい話だな」と思うかもしれませんが、これ、簡単にいうとこうです。
1. 地震が来るのはわかっている。
2. 国は「診断してね」とは言う。
3. でも、改修するかどうかはあなた次第。
4. そして地震が来たら「自分で選ばなかったあなたの責任」。

たとえるなら、「嵐が来るとわかってるのに、傘を買うかどうかは自由ですよ」と言われ、傘を買わずにびしょ濡れになったら「買わなかったあなたが悪い」と言われる感じです。
これが「自己責任社会」の仕組み。しかも命がかかっている分、笑えません。

  1. これからの家づくり・リフォームの新常識

さて、ここからが本題です。私たちができるのは、この「自己責任社会」を冷静に認識したうえで、賢く動くこと。
• 耐震診断は「スタート地点」。診断を受けたら必ずプランを作ること。
• 「無料診断」には裏があることを知り、信頼できるプロを見極める目を持つ。
• 助成金は「オマケ」程度と割り切り、本気で命を守るなら自費でも投資する覚悟を持つ。
• 改修費が厳しいなら、「ゾーン耐震」など一部屋だけでも強化するという賢い選択肢を検討する。

  1. 結論:命を守るのは「国家」ではなく「あなた自身」

耐震診断は「家を守る手段」のようでいて、実は「あなたに判断を委ねる仕組み」です。これはつまり、「国はあなたを見放した」というわけではなく、「あなたが何を選ぶかを試している」とも言えます。

でもね、本当はもっと手厚い公助があるべきです。なぜなら、住宅は単なる「私物」ではなく、「社会インフラ」の一部だから。
地震で家が倒れれば、自分だけでなく周囲も巻き込みます。だからこそ「自己責任」の壁を超えて、社会全体で安全を守る視点が必要なのです。

最後に一言。「安全な家は、自由の象徴ではなく、最低限の権利」です。 そのために、私たち一人ひとりが「賢い判断者」になるしかない――これが、この国のちょっと不都合な真実です。

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