【1】冒頭のご挨拶:「感謝」と「滑り芸」の季節がやってきた
こんにちは。
5月といえば、母の日。母への感謝を伝える一大イベントだ。カーネーション?スイーツ?マッサージ器?……どれも見慣れた選択肢の中、「リフォームをプレゼントしよう!」とひらめいた自称“親孝行男子”たちが、毎年華麗にスベる。
いや、気持ちはわかる。本当に。家を大事にしてきた母に、住まいの快適さを贈る──その発想自体は、尊い。でもその“伝え方”と“タイミング”が、まるで昭和のコント。
ということで、今回は「なぜ母の日にリフォームを提案するとスベるのか?」をテーマに、住宅リフォーム業界の視点も絡めつつ、毒と笑いとほんの少しの愛を込めて語ってみたいと思う。
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【2】“家”をプレゼントするという誤解:母の笑顔とリフォームのズレ
リフォームのプレゼントを思いついた息子がまず犯すのは、「母が喜ぶ=自分が便利だと思う家にすること」という暴走だ。
「バリアフリーにしたら楽だろ?」とか「キッチンを最新にしたら便利でしょ?」とか……それ、お前が思ってるだけや。
母にとって「住み慣れた家」は、多少不便でも“手に馴染んだ”包丁みたいなもの。
そこにいきなり「このIHに変えたら火事の心配ないよ!」と真顔で言われたら、「まだボケてへんわ!」と返されて当然。
人は、「不便の中に愛着を持っている」という現実を、リフォーム提案者は忘れがちだ。
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【3】母の日の“サプライズ”にリフォームは重すぎる
カーネーションなら当日渡せる。チョコなら当日食べられる。でもリフォームって、着工までに契約、打ち合わせ、施工日調整、近隣挨拶……とサプライズどころか修行だ。
「母の日に“外壁塗装”をプレゼント!」とか言い出すのは、誕生日に健康診断をプレゼントするようなもの。愛はあるけど、テンションは確実に下がる。
そして一番よくあるパターンが、「プレゼントとして先に契約だけして、あとで施工は……」という“保留型親孝行”。
結果、契約金だけが残り、話は宙に浮き、母が「あんた一体何してんの」と困惑する。
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【4】本当は“自分の都合”じゃないの?という問題
「母の日にプレゼントとして、実家の床下シロアリ防除をやりました!」
うん、偉い。でも、それってほんとに“母のため”だった?
実際、業者として見ていると、「実家の点検を名目に、将来の相続や住み替えを見越したマーキング」というケースがけっこう多い。
つまり「親のため」という顔をしておいて、実は“自分の安心”のためのリフォーム。これは、母に気づかれた瞬間に滑る。
親の気持ちを無視して“安全安心”を振りかざすのは、愛じゃなくて“自己都合リフォーム”だ。
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【5】母が本当に望んでいるのは“会話と共感”
「母の日って何したらいいですか?」と聞かれたら、僕はこう答える。「家の不満を30分だけ聞いてください」と。
リフォームって、実は“話すこと”から始まるもの。
「この家のどこが好きか?」「逆に不便なところは?」「どう変えたい?」
この会話なくして、まともな提案なんてできない。
だからこそ、いきなり見積書持ってきて「これがプレゼントです」はNG。「これ、僕が考えた間取りだよ」もNG。大事なのは“聞くこと”であって、先回りすることじゃない。
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【6】“リフォーム=親孝行”という思い込みの罠
「リフォーム=優しさ」という前提がすでにズレてる。
たとえば、母が「お風呂を広くしたい」と思ってても、それを“リフォームで叶える”ことが本当に最適なのか?は別問題。
多くの親世代は、「工事の音がうるさい」「工期が長い」「職人が家に入るのがイヤ」といった、“工事そのものがストレス”という現実も持っている。
つまり、家は変えたくても、プロセスを受け入れられない人は多い。
これを無視して「リフォームしてあげるから感謝しろ」は、まさに“善意の押しつけ”。
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【7】リフォームより“ちょっとした手直し”の方が効くことも
逆に、「こんなんでいいの!?」と思うくらい喜ばれることがある。
たとえば、キッチンの棚に滑り止めシートを敷くとか、洗面台の鏡をピカピカに磨くとか。
あるいは、「廊下に手すりつけようか?」という話をしてみる。そうしたら「それより換気扇がガタガタしてて気になるの」と返ってきたりする。
そう、リフォームって大げさな工事だけじゃない。
“困りごとの一つを、ちゃんと解決する”こと。それが母にとっての“本当のプレゼント”になりうる。
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【8】“スベらない母の日リフォーム”の黄金パターンとは?
では、どうすればスベらないのか?正解は「一緒に考える提案型リフォーム」だ。
具体的には:
• 「母さん、どこか使いにくいところある?」
• 「これ、直したら楽になるかなと思ったんだけど、どう思う?」
• 「俺も今こういう仕事してて、ちょっと見てあげようか?」
“リフォーム”を前面に出さず、コミュニケーションの中に“選択肢として”差し込む。
それだけで、スベる確率は激減するし、逆に「こんな息子に育ってくれて…」と感動される可能性すらある。
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【9】感謝の形は“家”より“時間”に宿る
住宅リフォームというのは、「空間」を変えることで「人生」を快適にする手段だ。
でも、母の日に必要なのは、リフォームよりも“あなたの30分”だったりする。
忙しい息子が帰ってきて、「どう? 最近不便なとこない?」と聞いてくれる。
それだけで、母の心はもう“全面改修”状態。
リフォームって、実は“感謝の気持ち”がないと始まらない。そしてそれを伝える手段は、必ずしも工事ではない。
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【10】締めのご挨拶:親孝行も計画的に。そして来年は、滑るな。
というわけで、「母の日にリフォームをプレゼントしてスベる息子たち」について、毒と皮肉とちょっとの愛を込めて語ってみました。
結論?
リフォームは計画的に。母の日は感謝の気持ちを丁寧に。
カーネーション1輪の方が、何十万の工事よりも母の心を動かすこともあるって話でした。

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